パチンコ界は奇々怪々


1.開放台の謎

 パチンコが釘調整だけで出たり出なかったりするのではないと考え始めたのは、20年以上前、まだ、手打ち式パチンコがあった頃まで遡る。

 当時は、2千発か3千発出ると打ち止めで、そうなれば「まいった」とか「ノックアウト」などのカードがつけられた。そして、たいていどの店でも、時間がくれば開放していた。調子が悪い時にはそういう台をハイエナ狙いしたものだ。

 しかし、不思議なもので開放台といっても全然出ない台があった。早めに打ち止め台になった台や、2回・3回と打ち止めになった台でも、例えば4回目以降は、ぱったりと出なくなることがあった。今も、羽根物でこのような方式をしている店もあるが、羽根物(特にラウンド抽選式)は、運の要素がかなり入るので、こんなことが起きても納得できるのだが、当時の羽根物は、ラウンド抽選などなかった。

 そういうことが起きるのは、腕が違うからという人もいたが、自分が朝一に終了させた台を、自分でもう一度やってみても、全然出なくなっているということもよくあり腕が理由ではなかった。玉のはねかたが全然違うのである。

 昔の平台は、打ち止めになるような台でも、最初から出っ放しではなく、玉が天穴(今は、へそが1番重要だが、昔は天穴であった。)に吸いこまれるように入る時とスランプ状態になり、玉が暴れてなかなか入らない状態が交互にやってきて出る状態が長い台(もちろん、釘が良くなければだめ。)が打ち止めになるのが普通であった。

 スランプ状態が起きるのは、偶然ではなく、何らかの物理的変化が起きたからだと考えていた。開放台が全く出なくなってしまうのは、その変化がずっと続いていたからと推測できる。これは、何らかの人為的な操作がされたと考えるのが自然であろう。つまり、出る状態にさせたり、スランプ状態を作り出すのは、釘調整以外の方法で、店側ができるのだということを考えざるをえないようになった。

2.スランプ考察

 その原因としては、各台の裏側上部に貯められている補給玉の量の違いによって起こるという説が、昔から有力である。(昔は、玉が連続されて補給されるのではなく、500発くらいずつ補給されていた。そして、玉が補給された後には、よくスランプが起きた。)裏玉が多くなると、台が傾いたり(そんなに簡単に台が傾くとは思えないので疑問だが。)、釘を打ってある板に重力がかかるので、それにより、何らかの物理的変化が起こり、釘の振動の仕方が変わるなどして、スランプが起こるのではと考えられる。

 昔は、よくそれに対抗して下皿に玉を一杯に詰め込んで対抗した人をよく見たが実際は、裏の補給玉が釘を打ってある板と同じ板についているのに対して、下皿は台枠と一体になっているので、重さが板の方にはかからず、あまり効果はないはずである。

 裏玉の量の変化で、スランプが起きるとしたら、店側がその量を調整すればいい訳でそのようなことをするのは難しくはないはずだ。実際に、昔、朝一や新台入替時に、最初から玉が入りやすい状態になっていたことがあったが、そういう時には決まって出玉が200〜300個くらいしかないのに補給ランプが付いた。つまり、モーニングサービス的に出やすい状態を作り上げる為に、正規の量の補給玉を減らしてあったと推測される。

3.ゼロタイガーの輪ゴム

 ゼロタイガーがこの世に登場したのは、1980年初頭のことであった。当時は、メーカーが一般ファンに台のアイデアを募集していたこともあり、また規制が緩やかであったこともあって、様々な個性的な台が登場してくれた。

 テレパチ(今の液晶がついている場所に白黒テレビがあった。)メガトンQ、ムーラン、寿命は短かったが、中でも傑作だったのはチューリップや入賞口に入るとアウト、一番下の普通の台ではアウト玉が行くところまで行けば入賞という逆転台もあった。

 ゼロタイガーをやっていた時も、不思議な現象に遭遇した。釘読みだけでは絶対出ないような台でも、妙に癖のいい台があり、羽根に乗った玉が高確率でV入賞する台があった。最初は、役物内の床に当たる部分の傾きが台によってわずかに違うかと思ったが、そうではなかった。よく見ていると、羽根の開き方がほかの台とは微妙に違う台があった。

 その時には、台の個性だろうと思っていたが、実はそうでなかった。テレビ番組で暴露されたのだが、台の裏側を開けて羽根の根元に当たる部分に輪ゴムを引っ掛けていたのだ。そうすることにより、羽根の動きが変わり、Vに入りやすくすることができたのであった。

4.出玉調整もハイテク化へ

 1980年前半、羽根物が登場すると、時を同じくしてセブン機が登場した。この短期間の間に、後々20年にも渡ってパチンコ台の主流となる2機種が登場したのは、今考えてみると面白い。私は、平台を中心にやっていたのでこの2機種がパチンコ台の天下をとることなど考えてもみなかった。

 そして、出玉調整は、玉そのものの出入りをコントロールするのではなく、大当たりの確率を変えてしまう方法が登場した。裏基盤、不正ハーネス、遠隔操作、裏集中基盤などである。

5.釘師のプライドを捨てる遠隔操作

 遠隔操作など、実際にあるのかと疑る方もいると思うが、実際に摘発されたホールも多くある。全国で初めて遠隔操作で摘発されたのは、平成5年、札幌の某ホールだが、平成13年には、同じく札幌で、電話回線を使った遠隔操作が摘発されている。(記事

 何も、大掛かりな設備を導入するわけでなく、ホールコンピュータをノートパソコンにつなげ、各台にぶらさがりと呼ばれる機器を取り付けるくらいで済むらしい。(最近のものはかなりコンパクトになり、電波やモデムで発信する物もあるらしく、手入れが入ってもわかりにくいらしい。)

 また、ただ確率を操作するだけでなく、割数を設定してやれば、店全体の出玉状況に応じて、自動的に当たりを制御するもが主流のようだ。 (機種別・島別・時間別などの指定が可能。)

 釘を叩くだけで割数をぴったり合わせるというのは、今のCRでは相当難しいことで、同じ釘でも、日によって出たり出なかったりする。厳格な出玉管理が必要な大規模店にとって、ボタン1つで割り数をきちんとあわせることができるこの機械は、夢の機械に違いない。

 導入するコストは1000万円とも、2000万円ともいわれるが、新台を50台以上も入れ替えるお金など不自由しないホールにとっては、そんな費用の捻出などわけないはずだ。


6.屈辱の16倍ハマリ

 以前、大当たり確率約220分の1の時短現金機、サルカニチャンスを止め打ちで攻略していた時の話である。この機械は、ミニチャッカーの開く時間が長かったので千円で100回転以上回せたこともあった。そんな台を千葉県市原市の某ホールで打っていた。止め打ちは疲れるので、1日中はやらなかったが、確率が甘いので、日当5千円〜1万円は堅かった。

 しかし、途中から、やけに当たらなくなり、なかなか勝てなくなってしまった。1度思い切り勝負しようとし、開店直後から閉店近くまで、勝負した。

 その日は、なんと1600回転ストレート負け。次の日も、6時間以上勝負した。また、900回のハマリ。それまでのハマリを加えたら、3500回は超えていた。確率の逆数の16倍のはまりだった。こんなハマリは、自然には起こりえないはずだ。遠隔店なら、こんな仕打ちもあるのかと退散した。


7.回りすぎる台は、当たりにくくなる不思議

 ぶん回りになった時に、異様に当たりにくくなる現象は、札幌に住んでからも、しばしばみられた。
 
 T区某店のCRサンダーバード(初代)は、15個賞球口狙いのチョロ打ちが効き千円でなんと100回転回せた。(この台のことは、かなり有
名な話だったようだ。今では、店が変わってしまっている。)しかし、この台では、屈辱の3,000回転越えのハマリをくらってしまった。

 某店の現金機ナナシー(大当たり確率1/158)は、右上のスルーが甘く、右打ちすれば千円35回転回せた。これも、まるで当たりが消えてしまったかのようで、1,236回転で2回しか当たらなかった。

 とかく黒い噂の多い某店では、プラスティック部品が欠けてしまった台を見つけ、打ってみたら、千円60回転以上で回せた。次の日も、そのままだったので、終日稼働したのだが、8倍ハマリや5倍ハマリをくらい、ひどい確率負けをした。

 8倍ハマリや10倍ハマリなど、めったに起こることではない。これらの店では、店側が予期しないほどのぶん回りになった場合、何かの力が働いて、当たりにくくなってしまうのではないだろうか?

 もう一つ不思議なのは、回転率が他の台よりも、異常に上がった場合、たいていのホルコンには、何らかの警告が表示されるものである。普通なら、店長がそれに気づき、店員がチェックしにくるはずなのに、そうならなかったことだ。

 これは、出玉管理を何らかの装置で設定してあり、それに頼りすぎているので、回転率などのチェックをおろそかにしていると推測するのは、考えすぎだろうか?(3番目の部品が欠けた某店では、3日間、台を直さないままだった。)


8.裏操作などしていないというなら、初当たり確率を公開するべき

 遠隔操作の主な利用は出玉管理だろう。一般のお客さんに対し、カメラで見ていて、殺しを入れるなどということは、まずないだろう。大ハマリをくらった時に、遠隔操作をされたのでは、と考えるのは被害妄想の場合がほとんどだろう。そういうことがあるとしたら、店にとって都合の悪いお客(プロ)対してである。一般のお客さんに対しては、むしろ、当たりを入れてくれることが多いと思う。

 しかしながら、こういう悪徳ホールでは、ボーダー理論を逆用される恐れもあるので、自分で判断して行かないのが賢明である。データロボなどに、純粋な初当り確率を表示してくれれば、その判断もつくのだが、都合の悪いデータは見せられないらしい。(普通、表示されている大当たり確率は、なぜか、確変中を含めたものとなっており、このデータを集めても、あまり意味がないと思える。遠隔操作をしているホールは、純粋な初当り確率は、表示できない。データを多く集められれば、尻尾をつかまれるからである。)

 うちの店はきちんとやっているという店は、純粋な初当り確率を公開すべきだと思う。

9.裏物語後日談

 「裏物語 真実の記録」を読まれた方の多くは、こんな話はネタだと思うかもしれない。しかし、あの話は、紛れも無い真実なのだ。そして、あの事件以来、私のパチンコに対する考え方は大きく変化した。

 裏物語に関して、面白い後日談があるので、ここに書いてみたい。1つ目は、裏物語のチェーン店が、H・Pやテレビ番組などで、「海物語の爆発台」の予想をしていたことがあった。甘釘コーナーの宣伝ではなく、台番号をいくつかあげて、その台が爆発するかもしれないというものだった。

 店に行ってみると、それらの台は、釘を開けたというのではなく、他の台と見た目にはほとんど同じ調整で、ボーダー派のプロならば、特に打ってみようとは思えない台だった。しかし、それらの台は、異様に噴いたのだ。終日の初当たり確率は、1/160くらいの台が多かった。このお祭りは、長い期間続かなかったのではあるが・・・

 もう1つは、裏物語の件で、北海道最大規模のパチンコ店の管理職にある方からメールをいただいたことだ。そのメールには、

・やはり、不正な操作をしている店があるのだと感じた。
・ホールにそういうものの売込みをしてくる業者が実際にある。
・不正な集中基盤なるものの存在。

 などといったことが書かれていた。この時に、不正な集中基盤なるものを初めて知った。詳しくはわからないが、島ごと、あるいは機種ごとに、いろいろな設定ができるものらしい。裏物語は、不正ハーネスを使用していると考えていたのだが、全台に天井が入っていたのが、大きな謎だった。そういうものまであるのかと納得した。

10.ジェットカウンターの不正

 ホールが行う不正は、まだ多くあり、中でもジェットカウンターの計数をごまかしているホールもある。計数機を改造して、少なく流した時には、正常にカウントされるが、多く流した時には何%かカットされるものがあるようだ。また機械のメンテナンスが悪いと正常にカウントされない(特に多く流した時)場合もあり、それをそのままにしているホールもあるので注意が必要だ。

 
11.攻略法に騙されるな

 パチンコの攻略法を売る会社が登場したのは、私の知る限りでは1980年代初め、C社が最初である。(それ以前にも、個人的規模で広告を出す所はあった。)そのC社が攻略法とともに売っていたのが、パチプロV○とかいうものだった。それを、使えば確実に儲かるらしい。

 私自身は、買わなかったが、友達に買った奴がいて、見せてもらったら、 パチプロV○なる物の正体は、透明なプラスチックカードに、何個かの印が2つずつついただけの物で、その利用法は、その穴を台のへそにあて、例えば、赤丸の幅ではだめ、青丸よりも幅があったら勝てるというわけだった。

 確かに嘘はないが、これじゃ、がまの油売りみたいなもの。これで、数万円もしたのだから、C社は笑いが止まらなかっただろう。

 現在、パチンコの攻略法を売る会社は数多くある。有名なものに○○企画がある。ここの会員となるためには、普通会員で5万円、特別会員なら60万円もかかる。電話すると、担当者が実に感じがいい応対をし、今なら極秘のセットネタがあるとか、安心させるために会社に来ないかなどと勧められる。しかし、行ったら最後、かなり用心深い人でも落とされてしまうような演出が待っている。

 この会社の提供するものは、セットネタ、裏物情報、特別会員には、キズ情報が中心で、それ以外に別料金で、ホールデータを送れば、優秀台を予想してくれるという○○○システムがあるのだが、使い物にならないようで、某掲示板には、騙された人たちの怒りの声が数多く書き込みされている。

 皆さん、騙されてはいけません。パチンコ攻略法に攻略されるのは実は、あなた自身になりますよ。







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